ひきこもり経験者の日記連載『すぐそこにあること』

ひきこもり経験者のブログ「すぐそこにあること」

連載No19「逃げ思考からの脱却」2015年7月1日

先日ミスターチルドレンのアルバムがおおよそ2年半ぶり発売された。



僕は『クロスロード』がミリオンヒットしてから、ずっと応援し、ボーカル桜井さんの歌詞に何度も心を打たれている。



発売されたアルバム制作の過程をTVで密着ドキュメントとして放送していた。
 
 観る前からだいたい予想はしていたのだけれど、桜井さんの情熱、努力は凄まじいものがあった。歌詞とメロディーが出来、歌入れの際妥協しない姿勢に改めて心を打たれた。
 
 完成したものは64日にリリースされ、僕は何度も何度も聴いている。こうして数多くの人が何度も聴いたり、ライブでも何度も何度も演奏するのだろう。そのため歌詞・曲が前回の作品と比べて遜色がないものを求められるのだろう。それを繰り返し23年間もやってきた。なんだか凄いというのを通り越して、神?と思える。一方で、人として桜井さんが特別だとは思わない。ごくごく普通の音楽が好きな人、ただそれだけだと思う。
 

 前置きが少し長くなってしまったが何が言いたいのかと言えば、僕も桜井さんも同じ人間だということ。だったら、僕もこうして書く機会を頂いたのだから何度読んでも良いと思われる文章を書きたい。



先月号の依存体質について書いた文章は多くの方から良かったとの言葉を頂いた。それはものすごく嬉しいだけど正直今月号はプレッシャーです。と、もうすでに逃げ腰。
    
34歳で就労の経験がない。恋愛経験もない。友人と呼べる人も2人くらいと少ない。



これが僕の現状です。



なぜこのようになったのか。具体的には、僕が不登校になり、親に転校させてくれと言い、転校した結果、学校は1日しか行かなかった。なんだかダルイし、それまで学校に行っていなかったため学習にブランクがあった。こんな言い訳を自分の中に作り、親には熱があると体温計をこすって仮病を使い、学校を数日休んだのち、結局学校には行かなかった。多くの不登校と呼ばれる人々はなんとか学校に行きたい、行けなければならない、との思いで具合が悪くなりながらも懸命に学校へ行こうと努力しているように僕は感じた。僕は単に怠惰な生活を満喫したいだけの理由から学校へは行かなかった。


大学受験の際どうしても行きたい学校があったのだけれど、進学校に進んだ高校生と比較し、僕は通信制の学校なのだからという逃げ道を心の中で作り、そのため志望校には届かなかったと自分を納得させた。


 今も相変わらずで、僕は精神疾患!ひきこもり!だから出来ないとすぐ言い訳から始まる。収入が人並みにないのも、人付き合いが苦手なのも、病気だから出来ない。と逃げる。
 

最近、人付き合いが増え一つ新しい事に気づいた。今まで10年間人生が上手くいかたなかった理由をすべて精神疾患のためだと思っていた。10年前、僕の病状を親に伝え代わりに病院へ行ってもらった際、多くの精神科医には病気ではないと言われ当時は絶望感やなんでこんなに苦しいのにわかってもらえないんだ!と憤りを覚えていた。でもつい最近になって、居酒屋に行くのも、誰かと約束して遊びに行くのも、電話をかける際に深呼吸をしてからでないと受話器が取れない、こんな感じで苦手な事は多い。それは全て精神疾患のせいだと頑なに考えていた。だけど、応援団に2年間所属し、苦手な対人関係を味わい、苦手なメールをしたりして、そうこうしているうちにずいぶん慣れてきた。特別病状は変わらないのだけど。それでは辻褄が合わない。ある友人に相談していたら、僕の情緒不安定な状況をみて「思春期の人は経験不足のため不安定じゃない?」と言ったことが僕の発送転換につながった。



つまり精神疾患で物事がうまくいかないのではなく、転校して約20年対人関係は親だけという、対人関係のブランクだと思った。だから今から20年間のブランクを埋めていけばいいのだけど、ここでまた僕お得意の逃げ思考が始まる。あ~10代の感性豊かな時期に人と触れあっていない。高校、大学共に通信制だし、学校生活で友人関係に揉まれていない、もう34歳中年おっさんだからもう取り返しがつかない。などなど。だからやっぱり出来ないと結論づけ、今度、僕は20年間人付き合いがないから、あれも出来ません、これも出来ませんと、逃げ思考。
    
先日非常に身近な同世代の立ち向かう姿を本人から直接聞いたり、見たりした。一人はバーの店長をやっていたけど、グラスやお皿を高温で洗うため手荒れがひどく皮膚科に行っても治らない。でも決して言い訳にはしない。もう一人はある壮大なチャレンジをした。お金も人手もなく一人で頑張っていた。見事に素晴らしい結果を出した。肉体的に苦しいとか、お金がないとか色々と自らに言い訳を作れそうな要素は多くありそうだけど、その人は絶対に口に出さないし、弱音を吐かない。
    


僕の現状は全て逃げが原因だと思いたくないけど多分にその要素はあると思う。


 だから、先ほどの同世代の二人を見習う。というと表現が少し違う、感化されたというほうが近い。体調が悪いのは自己管理が甘い。ブランク?それは今からコツコツ埋めればよいだけのこと。一定の収入が欲しいなら、地道に働く、出来そうなバイトから始める。恋愛がしたいなら、どんどん出かけて人間関係の中に飛び込む。幸運にも僕の両親は働けとも言わないし、全力で僕の事を応援してくれるんだから、甘ったれてないで自分に向かって頑張れと思う。なので全身全霊で体調としっかり向き合い頑張ります。そして安定した収入を得て欲しいものが自分のお金で買えたり、多くの人たちと交流したいと前向きに考えられるようになった。