ひきこもり経験者の日記連載『すぐそこにあること』

ひきこもり経験者のブログ「すぐそこにあること」

連載No48「不登校児童たちが支えている学校制度」~金八先生を見て考えたこと~ 2018年1月1日

学校で起こる共通の出来事
無料動画サイトYouTube(ユーチューブ)で金八先生を見ていた。1979年に始まった武田鉄矢扮する坂本金八と生徒役の子ども達が学校内外で様々なトラブルーいじめ、妊娠、暴力、LGBT等-を乗り越え無事に中学を卒業するまでの物語を描いた学園ドラマだ。
 
 ドラマを見ていて、僕はある場面に何度も出会った。「学校に行くのがだるい」と言いながら毎朝、荒川の側を通り登校する生徒達。1時間目が始まるまでの場面でも、生徒たちは決まって「今日もだるいなぁ」なんてぼやき、学校なんかやってられないといった反抗期の態度を見せる。
 
 これはドラマ特融の場面ではなく、おそらくどこの学校でもこのような現象はあるだろう。当然、僕が通っていた学校でもそのような場面は飽きるほど見てきたし、僕もその中の一人だった。
 
 なぜ多くの子どもたちは面倒くさいのに学校へ通うのか。ここが今号のポイントだ。それは有名大学から大企業という古いレールに乗りたい。次に、多くの人が行ってるからという同調圧力に押された格好(ちなみに僕はこれだった)。そして、学校に行くことそのものが楽しい。勉強が得意であるとか、友人や教師との関係が好ましい。そんなところだろう。
学校に行かざるを得ない強制力とは
もう一つ皆さんの意識下にない学校に行く理由がある。それは「不登校と呼ばれたくない」もしくは「学校に行かない事で多くの不利益を被る」。
 
ここまで書けば鋭い読者なら想像がつくと思う。そう、学校に行ってない人を差別することによって学校制度は成り立ってる。


もちろん、そんなことを考えてない、差別してない。と思ったそこのあなた。意識的にそのような思考をもっていないのかもしれない。しかし、事実はそうではない、学校に行かなければテストの点数は0点、それに伴い通知表はオール1、結果高校受験に重要な影響がでる内申は0、当然出席していないのでその他の評価も0。そういった様々な不利益を被る。家庭で学校教育同等の権利を得ようとするなら膨大なお金が必要であるし、当然お金では解決できない対人関係の構築など数多く存在する。
 
  そういったことからもわかるようにこの国では学校に行くことが正しい選択肢であり、学校に行けない、行かないという行動は極めて苦しい選択肢になる。


つまり、学校に行かないことで多くの不利益をもたらすことが学校に行かざるを得ない強制力になっているのだ。そう考えると、不登校の児童たちが学校に通ってる生徒たちを支えているとも捉えられる。不登校経験者の僕としてはこんなに理不尽な制度が今でも存在することは極めて残念だ。
不登校児童の不利益を解消する社会へ


世界中の人たちの幸せを望んでもそれがかなわないのと同じで、義務教育課程の子ども達すべてが幸せになる制度は極めて難しい。しかしそこで思考停止せず学校教育以外の選択肢を制度化(の問題もある、詳しくはNo46を参照)し不登校児童がこんなにも多くの不利益を被らないような社会にしてゆきたい。そんなことを考えさせられたドラマ金八先生であった。