ひきこもり経験者の日記連載『すぐそこにあること』

ひきこもり経験者のブログ「すぐそこにあること」

新しい経済の枠組みとひきこもり解決への道

不登校、ひきこもりの正体について考え続けてきた。

 

結論めいたことを言えば、偏差値とお金に行きついた。

 

不登校の苦しみは、学校に行けないことであり、結果社会的にいい高校や社会的に良いとされる大学に入学しないと次のステップが見えないという現象だ。

 

そして、規模の大きな会社に入り、自分自信を「会社」という枠組みのなかで、どれだけ生産的に動けるのか、会社という枠組みで、市場価値を高めていけるのかといった社会の価値観から、こぼれてしまうことを、不登校、ひきこもりと言うのだろう。

 

そういった、偏差値やお金といった現代の価値観が、まもなく崩れる。

 

それは、テクノロジーの進化やAIの発達で「お金」という価値観そのものが、今までと変わるからだ。

 

 お金は、物々交換から形を変え、貝殻や金(キン)を媒介とし、現在は紙幣、そして、スマートフォンによるQRコード決済という風に、もはや目に見えるものではなく、数値化した物になっている。

 例えば、以前は、大量に雑誌を買わないと手に入らない「メンズファッション」の情報もインターネットで「無料」で、手に入る状況になってる。一部の人が独占的に支配していた情報の民主化

 昔、高価な服を買わなければおしゃれが出来なかったものが、ファストファッションによって安価に誰でも購入できるようになった。物があふれ、物の価値も下がってきている。また、人口減少によって支出に占める大きなファクターの家賃も「空き家」によって、非常に安く取得できる時代になった。さらに、なくてはならない食費も余った食料をシェアするアプリの登場によって、考えられないような価格で「食欲」を満たせるようになった。

 

 こうなると、基本的な生活にかかるコストはどんどん下がる。それは制度の変更ではなく、テクノロジーの発展によってもたらされる。

 

 

 制度変化は学校教育に象徴されるように、遅々として進まない。一方で、テクノロジーの進化はこの10年で生活や考えを劇的に変えていった。

 

 

 以前も、この連載に書いたが、インターネットで文科省認可の大学が入学から卒業まで、できる時代なのだ。

 

 

 話は戻って、お金に象徴される価値の変化はまもなく始まる。

 

 

 最近では、インターネットで寄付を募る、クラウドファンディングはその象徴かもしれない。信用経済と言われる新しい経済の仕組みだ。従来は、商品やサービスを販売するには、まとまった資本がないと始められなかった。しかし、「信用」を積み重ねれば、寄付≔クラウドファンディングで資金調達することができる。つまり、お金がなくても社会的に認められるサービスや商品を開発するのであれば、お金は必要ない。事業を始める人に信用があり、価値を皆が認めれば誰もが事業を起こせる時代なのだ。

 

 

 また、インフルエンサーというSNSで影響力を持った人が企業と組み、広報する仕組みによって、女子高生でも大きな額のお金を入手できる。

  

 ここまでは従来のお金に還元する話だったが、企業がポイントカードを媒介としたポイントによる価値。信用といった数値化できない価値など、新しい経済の枠組みが少しづつ、着実にできつつある。

 

 

 こうした新しい経済によって、「好きなことで生きていく」時代がまもなくやってくるだろう。

 

 

 僕がずっと疑問だった社会復帰、社会参加についてようやく、答えにたどり着きつつある。不登校・ひきこもり回復には様々な論点で語られるが、一言で言えば、好きなことをしてもいい、だけど、最後は従来の生き方に戻って下さい、という社会構造だ。

 

 

 不登校になって数年休むのもいい、ひきこもりになって数年休むのもいい。しかし、お金という、生きていくうえでなくてはならない「ツール」を最後は獲得するために、雇われる、起業する、在宅ワークなど。どれもお金という価値に縛られた生き方をせざるを得ない現状がある。

 

 

 不登校・ひきこもりという生き方による批判も結局は、嫌な仕事をしてお金を稼がないと生きていけない社会から生じた声だと思う。

 

 

 結局、嫌な仕事をしなければ、生きていけない世の中の不満が不登校・ひきこもり批判に追い込み、同時に、そういった仕事に従事する人も疲弊していく。

 

 

 もし、好きなことで、生きていける社会になれば、両者の溝も、不満も生きづらさも、ある程度解消するであろう。それは、お金からの解放であり、お金が一つのツールになる時代になることだと思う。信用経済はその一つの在り方で、まだまだ新しい経済の枠組みが誕生すれば、生き方のバリエーションも増えるし、現状の生き方を超える生き方が多数、選択できる社会になるだろう。それこそが、不登校・ひきこもり解決の道なのだ。

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著者撮影