ひきこもり経験者の日記連載『すぐそこにあること』

ひきこもり経験者のブログ「すぐそこにあること」

幸せの溜めができた理由~逗子30’sの活動に参加して~

バックナンバーNo7(20147月号)に逗子海岸の花火大会に参加した感想を書いてる。たった一人で参加した孤独感、恋人がいないことの虚無感を改めて感じ、ネット上の配信サイトで人と関わるほうが孤独ではないといった趣旨だった。



今、ようやく思い出せるほどに過去の経験であり、現在とても充実している証だ。318日に逗子で初のダブル成人式に参加した際も多くの友人・知人に出会えた。僕が現在、最も心地よいコミュニティと感じてる『逗子30sプロジェクト30代だヨ!全員集合!』(以下30’s)のメンバーにも出会えた。その30sのお花見に参加した経緯、そこで僕自身にどのような変化が起きたのか書いていく。



前日ウェルカムティーパーティー(月に一度の誰でも参加できるフリースペース)にて30sTさんから「新舛君、調子が良かったら、お茶だけ飲みに来てよ。新舛君が苦手な食事はとらなくてもいいから」そんな優しい言葉をかけてくれたこと。そして、横須賀の友人と3年ぶりの再会を果たした事。さらに、ウェルカムティーパーティーメンバーとも仲良くなっており3時間超という僕にとってとても長い時間を比較的楽しめたこと、そんなメンタル面の好調によって、お花見にも積極的に参加できた。



ただ、前日から楽しみな気持ちと、不安や緊張が入り混じった感情をもてあまし、少し気分が悪くなり「このまま引き返そうか」ということをようやく振り切って現地にたどり着いた。

〇決して忘れない出来事

 30‘s加入のきっかけとなったMさんとは、4年くらい前に『横須賀創造空間』の場でスピーチを聞いたことがきっかけで仲良くさせてもらい、その後もFacebookTwitterでお話させてもらい、その方が立ち上げた会社の名物品を買いにいったり、カフェで修行されているところにお邪魔したり、心地よい距離感を保った付き合いだった。そんなMさんが運営しているコミュニティ30sを僕はずっと気になっていた。   


初めは30’sのミーティングだった。僕は初参加ということもあり、ずいぶん気を使ってもらってMさんに「新舛君は鎌倉や横須賀でも活躍しているから、そのこともいずれ30’sでプレゼンしてもらおう」「今日は新舛君を中心に写真をとろう」そんな暖かい歓迎を受けたことが記憶に残っている。



冒頭にも書いたように、それまではインターネットの配信サイトでは多くの仲間と関わっていた。しかし、ネット上ではなく実際に会った人からこうした気遣いされたことはなかった。だから今でも記憶に残るほど嬉しかった。

  こうした経緯から、30sの活動に興味を持ち、積極的にかかわってみようと思った。僕は何かにトライしたいと思っても行動するまで長く時間がかかるため、次の参加は年をまたいだ新年会になった。№39にも書いたけど、新年会の参加はそのころ比較的体調がよく、「なんでも先送りするから、恋愛や仕事に関われない。思いついたことはなんでもやろう」そう思えた時期だった。



新年会に参加したとき、12人くらいのなかでMさんのみ知っており、その他ミーティングで顔を合わせた程度の人、初対面だった人が多く、とても緊張し、正直疲れた。働いている人はこれが“遊び”であり、遊び程度で疲弊する僕は働くという事はまだまだ遠いと感じた。一方で、自己紹介をした際、僕のこうした書く事、こども若者応援団の講演に興味をもってもらい、働いている人たちの中で僕を受け入れてくれる人もいるんだといった安堵感もあった。その場で少し仲良くなった人からの誘いでイルミネーションを外す手伝いをしたり、30sのイベント「2月の寒中水泳」に参加(泳いでません())したりと少しずつ30sと距離を縮めていった。

〇心身の不調を上回るモチベーション

30sの活動は「逗子海岸のごみ拾い」、「認知症啓発活動」、「防犯のための夜回りランニング」どれも“仲間”と共に楽しみながら活動するイベントなので、参加している皆が笑顔で集まって、共に活動する様子がFacebookに報告され、イベントが立ち上がるたびに参加を考えるんだけど、僕はなかなか一歩が踏み出せなかった。それでも、参加したい“感情”が上回り、体調をコントロールするためにミーティングの途中から参加したり、夜回りランのプレゼンを聞きにいったり、偶然街で30sの仲間とであったり、そんなことを経験し、ようやく「緊張せず比較的自然体で参加できる居場所」になった。



僕は人の中に入っていくと、必ず反芻し、あの一言が相手に失礼だったかもしれないといったような後悔が生まれる。それが疲労の原因だけど、30年ぶりのお花見ではそういった思考が生まれなかった。2時間があっという間であり、もうこれで終わってしまうのかといった今迄では考えられない感情が浮かび上がった。帰宅後も満たされた状態があり、先月号の「人を許さないことが心理」と正反対の「幸せの溜め」ができていた。

〇特別視されず気を使ってもらえるコミュニティ

30sでは、認知症啓発などの活動にも表れているように多様性を承認していこうという考えが根底にあるようで、不登校・ひきこもりというバックグラウンドをもった僕でも、差別されることも、特別扱いされるわけでもなく、少し気遣ってもらえる優しいコミュニティのように感じた。そして、このコミュニティがあることから地元逗子を以前より大切に思えるようになった。



ようやく僕のなかで対人関係のブランクが消えつつあるのかもしれないそう思えた30‘のお花見だった。

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