ひきこもり経験者の日記連載『すぐそこにあること』

ひきこもり経験者のブログ「すぐそこにあること」

連載No45 「様々な支援機関を利用して~人とのつながりを増やした結果~」 2017年9月1日

〇多様な支援
今月は今まで受けてきた支援について書いていこうと思う。
 
 最初に尋ねた支援機関は「よこはま若者サポートステーション」(以下サポステ)だった。まだまだ人との繋がりもなく、体調の悪化とともに外出が難しくなり将来不安が高まったので親に代理でサポステに通ってほしいと頼んだ。支援者も快く親が代理で通うことを承諾してくださり、そういったスタイルが1年ほど継続した。その後、僕の体調は緩やかに回復しサポステに通えるようになり、直接支援がうけられるようになった。もし、直接本人がこなければ面談を受け付けませんと言われたら、支援者との繋がりはないだろう。その点、代理でも可能というのはものすごくありがたい支援だった。さらに就労支援なのにすぐに就労をしろとせかすことなく、人のつながりを作ることを勧めてもらい僕は安心してサポステに通えるようになった。


このように、体調が回復するまでの間、僕はサポステに通うことが出来なかったので、自宅での支援を望んだ。そしてサポステに紹介いただいたのが「NPO法人メンタルコミュニケーションリサーチ」(以下MCR)だった。一般的に訪問支援の場合、料金は1時間1万円と高額だが、MCRは大学生を派遣するということもあり、かなり安い価格設定だった、1時間2500円。これは働いていないひきこもりの人にとってありがたいサービスだと思う。しかし、安いと支援者の質が悪いのではないか、支援機関に問題があるのではないかと思われるかもしれない。そういった心配は利用を重ねていく過程で見事に払拭された。僕の家には計4名の支援者が来たが、トラブルは支援者の遅刻程度だった。僕の場合、支援者との相性もよく、とても心地よい関係がそこにはあり、支援者は非常に頭がよく優秀な人だった。その間、僕は通信制の大学に通っていたので、大学の勉強も教えてもらっていた。


そのような心地よい関係が継続していたものの、トラブルが発生した。MCRの話では、支援者が大学を卒業後はMCRをやめ、後任を派遣しないという説明だった。その話が支援者には通ってなく、僕と支援者は話し合ったのだが、なんの理由もなく後任を派遣してくれないということに、僕が我慢できず、その段階で辞めてしまった。結果、相性のいい支援者と関係が切れてしまい、僕の体調も悪化してしまった。今思えば、後任の問題もあったけど、支援者が辞めるまで来てもらえばよかったと後悔している。しかし、その経験を経たことで、人との関係において、こちらから切ることだけはやめようと決心できたから良かったのかもしれない。


徐々に外出できるようになってから、横須賀市上町にある「NPO法人アンガージュマン・よこすか」(以下、アンガージュマン)というNPO団体をみつけ通ってみた。アンガージュマン不登校、ひきこもり支援団体で、学習支援、就労支援を行ており、フリースペース、カフェ、そして書店まである珍しい支援機関だった。見学に行った際にフリースペースを紹介してもらった。フリースペースを利用している年齢は12歳~30歳くらいの人たちが利用しており、フリースペースの担当者が僕と同じ歳だったことを懐かしく思う。緩い雰囲気とそこにいる人々のリラックスした態度や楽しそうな雰囲気が素敵で僕はそこに通うことを決めた。そして、アンガージュマンでは居場所にいる人達とトランプやジェンガを楽しんだり、時にスタッフの仕事を手伝い、居心地の良さからゴロゴロしていることもあった。僕にとってアンガージュマンは素敵な居場所になった。そこで出会ったのがアンガージュマンよこすか2代目の理事長であり、今こうしてお世話になっている滝田さんだ。
 
 それ以外にも、現在通っている逗子の「遊悠楽舎」、「湘南の凪」。見学に行ったのが、精神科に併設のデイケア鎌倉市にある精神障害専門のフリースペース「トライム」、福祉作業所などだ。

〇多くの人と繋がった結果
こうして僕はあちこちの支援機関に通った。なぜなら、一つはサポステの支援者による人とのつながりを増やしたほうがいいというアドバイス。もう一つは父親が代理でひきこもり講演会に行ってもらったとき、ひきこもりを脱するコツは偶然の機会を増やし、様々なつながりの中から突破口を見出すことだった。だから1カ所に満足せず、こうしてあちこちの支援機関にお世話になった。もし、僕が1カ所の支援機関で満足していたら、滝田さんとの関係もないだろう。こうして発信することもなく、未だ焦りを抱えていたのかもしれない。だから、あちこちの支援機関にコミットすることは僕にとってとてもよかった。今でも、2カ所の支援機関との関係は継続しているし、プライベートではFacebookを活用し、できるだけ繋がりを増やそうと努めている。そういったつながりにより講演する機会やインタビューを受ける機会を頂いた。だからひきこもりの人にとって繋がりを増やす事は大切だと思う。人との繋がりは困ったときに助けてくれる人ができるかもしれなし、なにか行動するきっかけになるかもしれない。


〇かけがえのない宝物
僕は皆さんと繋がった結果、数多くの講演会を開催、FM出演、このエッセイが小冊子になり販売、なにより多くの人とのつながりは僕のかけがえのない宝物だ。